それまで積み重ねてきた看護技術と共にあると嬉しいのが子育ての経験です。普通の企業に勤めていても、妊娠、出産を機に休みを要してしまい、きっとブランクに感じてしまうという人は少なくありません。
しかし、看護職はあくまでも対人間で、常にケアを念頭に置いている職種。そこで、子育てを通してそれまで以上に丁寧な仕事を進める事が出来るというのは、とても評価の高い経験になるといえるのです。
助産師は、その中でも特に子供と接する事が増えます。特にその親御さんというのは、誰しもが“初めて”親になった方ばかり。そこで、助産師としてだけでなく、先輩ママとしてもその培ってきた経験を活かした新米ママへの手助けとなる事はとても頼りがいのある事であり、自分自身の成長にもつながる事だといえます。
特に出産というのは、誰しもが出来るものではありません。残念ながらこればかりは天からの授かり物ですから、五体満足というのもとても嬉しい事なんですね。
また、その子や親の中には、もしかしたら望んで、もしくは望まれて産まれた子でないというのもいるかもしれません。
出来ればそんな事はあって欲しくないのですが、どうしても家庭の事情というのが大きく関わってきますから仕方のない事だといえるでしょう。
これは逆ももちろんあり、不妊治療などを経てやっとの思いで出来た!産まれた!というとても嬉しい現場に遭遇する事も少なくはありません。この時のやりがいや感動は、とてもとても大きいものだといいますよ。
そして、中には出産に至らなかった子というのも少なくはありません。これは本当に辛く、悔やんでも悔やみ切れません。
こんな時には、助産師としてだけでなく、ひとりの母として、そして同じ女性としてぜひお母さんに寄り添ってあげてください。何も言わなくたっていいのです。ただ隣に座り、一緒にいるだけでも人の気持ちには変化があります。
赤ちゃんは、その存在がそこにあるかないかというだけで、とても大きい一喜一憂を生み出します。それはきっと、女性にしか分からない感覚や感動があるからこそだといえます。
男性には体験したくても出来ないものだからこそ、未だに助産師は女性にしか許されない職種として成り立っているのかもしれません。だからこそ、育児を機に辞めてしまうのではなく、その経験を活かしてより素敵な助産師として活躍する事が望まれるのです。